2019-02-19

シスコ・システムズ(CSCO):ネットワークの絶対王者に感じた変化

Grüß Gott / Hello

今日はネットワーク機器の最大手シスコ・システムズ(CSCO)のお話です。

  目 次



  ネットワークの絶対王者


インターネットはもちろんのこと、ネットワークの通信を制御するには"ルータ"という機器が必要となります。

この"ルータ"という機器で"世界標準"と言っても差し支えない存在がシスコ・システムズ(CSCO)の製品群です。

パソコン、インターネットが普及し始めた1990年代から、一般企業も企業内LANを構築し始めますが、他社製品と比較し圧倒的に高額でありながらも「中枢に配置するルータは  Cisco  でなければいけない」、そんな空気感が長年定着していました。

実際、低価格につられて他社のルータを導入すると、技術的な情報量が少ないため、結果、構築業者以外にメンテナンスや相談ができず、事故発生時の復旧にも時間が掛かるといった弊害が見られました。

"世界標準"の  Cisco  のルータであれば技術者も多く、時流に乗ったネットワークの対応、業者の技術力も客観的に評価できたと思います。

例えになるかは微妙ですが、近辺にディーラーが有る有名メーカーの高級車と近辺にディーラーが無い無名メーカーの大衆車のメリット・デメリットに似ているでしょうか。

  2010年代に入り状況は変わった


2000年代に入ってもシスコ・システムズ(CSCO)の優位は変わらず絶対王者として君臨していましたが、2010年代に入りこの状況に変化が見られるようになりました。

競合他社製品の質の向上、アフターサービスの強化もありますが、一般家庭にも簡易ルータが設置されはじめ、加えて無線利用が活発になり、ネットワークの基本的な技術情報がより一般に広まった背景があるのではないかと思われます。

もはや「  Cisco  でなくてもいいのでは?」という変化が出始め、この傾向を顕著に感じたのはシスコ・システムズ(CSCO)自身の変化です。

シスコ・システムズ(CSCO)は自身で直接顧客に製品を売ることはなくパートナーの業者が担当するので、顧客への直接の営業活動はあまり積極的ではありませんでした。

ところが、2010年代に入り、顧客への直接の営業活動が頻繁に増えたように感じます。

「次回の機器更改もぜひ弊社(Cisco)製品でお願いします」というかんじで、それまでのシスコ・システムズ(CSCO)とは明らかに違うアプローチです。

黙っていても  Cisco  を買ってくれる時代ではなくなった、ということではないでしょうか。

また、ルータ以外の事業、サーバやソフトウェアサービスに進出してきたこと、ライセンス収入に拘り始めたことなども大きな変化でした。

シスコ・システムズ(CSCO)の 2018 Annual Report では前年まで報告されていた"Switching"(ルータ機器)の売上項目が消え、"Infrastructure Platforms"に統合されていたことも象徴的な出来事だったように思います。(円グラフ参照:クリックすると大きくなります)

   

  📌 情報元:Cisco Systems Inc. - Investor Relations - Financial Info
      - ➤2018 Annual Report (PDF)
      - ➤2017 Annual Report (PDF)

個人的に感じたことを素直に言ってしまうと、「シスコの絶対王者時代は終わった」です。

奇しくもNYダウ30に採用された2009年6月が「ネットワークの絶対王者」のピークだったのかもしれない・・・なんて思ったりします。

Note
💣 ライセンスに拘り始めたら要注意

マイクロソフト(MSFT)や無線のクァルコム(QCOM)もそうですが、あるカテゴリーで絶対王者である企業が、突然"ライセンス収入"に拘り始めたら、事業状況に苦しい変化が表れていると疑う

  シスコ・システムズ(CSCO)への投資について


個人的にはシスコ・システムズ(CSCO)の印象はとても良くて、ITバブル崩壊以降にわたしが投資したことがある数少ないIT銘柄です。

IT銘柄への投資には恐怖心があるので長期保有対象ではないですが、過去の取引履歴を見て結構売買している自分に驚きます。

ネットワークという世界では揺ぎようのない絶対的な地位を誇っていたのがCSCOに投資してきた理由だと思いますが、わたし的には「もはやネットワークの絶対王者でなければ、ネットワークだけの会社でもない」と感じている現状なので、シスコ・システムズ(CSCO)に投資することは当分無いように思います。

ITセクターについては「絶対的な地位を維持する企業以外は恐くて投資できない」というのがわたしのスタンスだからで、シスコ・システムズ(CSCO)に将来が無いということではありません。

実際、わたしが売買しなくなった今、CSCOの株価はとても元気なようです。。。

(投資は自己責任で)


というわけで、競争が激しく時の流れも早いIT銘柄への投資には勇気が必要です。

LINK

Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you

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