2019-05-21

特別配当のからくりに気づかないアナリストがいるとは・・・

Grüß Gott / Hello

日本株は特別配当記念配当が出るので一時的に見た目の利回りが高くなる時があります。

それに気づかずに買い推奨するアナリストがいることには呆れるばかりです。

  目 次



  特別配当と記念配当


日本企業は特別配当記念配当を出すことがあるため、その年だけ見た目の利回りが高くなる時があります。

一方で毎年特別配当を出す企業もあり、この場合は普通配当の一部と見做すべきです。

この実情を踏まえた上で、本当の配当利回り、増配なのか、減配なのかを把握しなければいけないと思います。

配当の内容については企業のサイトに掲載されている決算短信有価証券報告書を見れば誰でも調べることができます。

呆れてしまうのはこの特別配当と記念配当による一時的な高配当を、そのからくりに気づかず(調査せず)に買い推奨の理由にしてしまうアナリストがいることです。

  東京海上HD(8766)の場合


保険会社の東京海上HD(8766)は2019.3期まで17年間減配していません。

📍 東京海上HD(8766)の配当推移


この2019.3期は「資本水準調整のための一時的な配当」()として70円が追加されていました。

これは普通配当の180円とは別扱いのものです。

この結果、一時的な配当を加えられた2019.3期の年間配当総額は250円となり配当利回りは4.66%に跳ね上がります。

普通配当180円のみなら配当利回りは3.35%です。参考までに前年は3.38%、過去5年の平均は2.92%です。

同社は次期2020.3期は190円の予測を出していますので、見た目は24%の大幅減配となってしまいます。

しかし、本来の累進的な普通配当では減配ではなく、5.56%の増配となります。

インカムゲインを目的としたスクリーニングでは普通配当のみの利回りを対象として検討すべきであり、一時的な配当を加えた配当利回り4.66%は見てはいけないでしょう。

ところが、今週の決算日直前に東京海上(8766)の一時的な4%超の高配当を推奨理由に挙げる呆れたアナリストが見受けられました。

  🔎 以下で検索するといくつか見つかります
  「東京海上 配当利回り4%超えと魅力的な水準」

先週末に発表された他の保険会社の決算が良好だったことからトップカンパニーとしての東京海上(8766)に目を付けたのでしょうけど、4%超えの利回りを貰えるのは3月までに買った人だけで、今から買っても次期4%超がないことくらい素人でも想像がつくレベルです。

他人様からお金を頂戴して提供するプロのアナリストの情報としてはあまりにお粗末なものです。

トップアナリストにしてこの程度です。本来の投資顧問事業では実績をあげられず、いい加減な情報配信事業では儲かっているのかと疑いたくなります。

5/20場中の決算発表後の東京海上(8766)の株価の動きを見ると典型的なトラップであり、こういうアナリストに騙された人が多かったのではないでしょうか。

とにかく、アナリストの言うことは必ず疑って自分自身で調べることが大切だと思います。

株価が落ちる原因を証券会社に電話で聞いているような人は要注意です。

  東宝(9602)の場合


映画配給会社の東宝(9602)毎年特別配当を出しています。

📍 東宝(9602)の配当推移


普通配当だけですと長年減配していないです。

しかし、これだけ毎年測ったような特別配当を出しているとなると、実態は普通配当の一部と見做すべきだと思います。

記念配当の方は創立何周年の一定期間が空いているものなので普通配当とは別扱いにして良いと思います。

そうして改めて見てみると、2013.2期に記念配当のあった翌2014.2期を減配と見做すのは実態に合っておらず、記念配当を除けば地味ながら21年間減配していないことになります。(それ以前の配当データはわからないのでもっと長い期間減配していない可能性があります)

2020.2期の会社予測は減配を示していますが、2019.2期の最初の予測も35円から追加修正されましたから、業績が大きく崩れない限りは2020.2期も45円への追加修正を見込んでいると思われます。

もし、追加修正がなく35円のままで終わった場合は消えた分が特別配当だったとはいえ減配と見做すべきでしょう。

  アメリカとイギリスの場合


アメリカの場合はスピンオフがあった時などに特別配当が出ますが、当然ながら普通配当とは別扱いであり、投資情報サイトの配当データもきちんと切り分けが出来ています。

アメリカでも利益に応じて頻繁に特別配当を出す企業はあります。

最近業績が低迷した下着メーカーのエル・ブランズ(LB)などはかつて普通配当の数倍の特別配当を毎年出していたかと思います。

一方、配当性向を重視する£ベースの英国企業の場合は、言ってしまえばすべて特別配当だと考えた方が良いと思います。

英国企業は配当期毎に利益に応じて株主に還元してきますので、アメリカの投資情報サイトも英国企業の配当データは正確に反映されていないものが多いような気がします。

高配当で人気のあるグラクソスミスクライン(GSK)などの本当の配当利回りには気をつけないといけないです。

  このブログの 📄 [日本株配当データ] ページ
   ➤日経225採用銘柄の配当データ
    (Japan NIKKEI225 Dividend Data)
    (Last Updated 31.Dec.2018)


  このブログの 📄 [米国株配当データ] ページ
    ➤S&P500採用銘柄の配当データ
    (US S&P500 Dividend Data - vers.2018)
    (Last Updated 28.Jan.2019)


というわけで、日経225採用企業の3末決算が終わり、配当情報を見直している最中です。

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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you

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