今日はソニー(6758)の決算報告書から勝手に思うことです。
目 次
ソニー(6758)が円高に強いと言われる理由
よく「ソニー(6758)は円高に強い」などとマーケットで言われることがあります。
メディアなどは「ドル建ての調達が多いため」「海外投資家の保有率が高いため」などとそれらしい理由を並べています。
それも嘘ではないでしょうけど、でも、ちょっと待って。。。
ソニー(6758)も輸出企業であり、決算では円高差益の影響を大きく受けます。
それに「ドル建ての調達が多いため」はソニー(6758)だけに当てはまることではありません。
仮にソニー(6758)の「ドル建ての調達が多い」としても、為替影響度の正確な他社比較までは把握しようもないことです。
では、他に考えられる「ソニー(6758)は円高に強い」の理由は何でしょうか?
わたしはソニー(6758)の決算報告書の書き方に「強さ」の秘密=理由のひとつがあるんじゃないかなと思っています。
決算書を読み比べる
アメリカADRに上場している日本を代表する輸出企業の決算報告書を見比べてみてください。
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➤ソニー - 決算・業績説明会 (www.sony.co.jp)
➤トヨタ - 決算報告 (global.toyota)
➤ホンダ - 決算関連資料 (www.honda.co.jp)
➤キヤノン - 決算短信・説明会資料 (global.canon)
ソニー(6758)の決算報告書には為替から受ける影響をかなり細かく記載していることがわかると思います。(PDFを開いて"為替"の文字列を検索してみれば一目瞭然)
他の企業は「為替の影響による損失○○円」くらいの説明で終わっているのに対し、ソニー(6758)の決算報告書には全体、事業別に為替の影響が何%か、さらに、当初予測した為替レートで比較したら増収なのか減収なのかを明記しています。
本当はここまで書かなくたって、計算すれば出てくるものですけど、アナリストは
アナリストにとっては事務的な表向きの数字だけがすべてですから、「為替の影響による損失○○円」→「損失○○円」だけを受け取られるということです。
なので、他の企業も為替の影響を細かく決算報告書に記載することで、円高に振れてもソニー(6758)のようにその中身の評価が加味されて株価が動くのではないかなと思ったりします。
もちろん、円安に振れた場合はそこで得ていた差益が評価されなくなり、場合によっては隠せたはずの実質の減収減益がばれてしまうという事態も考えられますが、マーケットに報告すべき決算とは一体何かを考えれば、その方が正しいように思います。
(為替影響を悪決算の理由にすることで都合のいいこともあるとは思いますけど)
ユニリーバ(UL)の決算書から学ぶ
世界的な多国籍企業のユニリーバ(UL)は様々な現地為替の影響を受けますが、その為替の影響に対し独自の指標を設けて決算報告をしています。
- USG = Underlying Sales Growth
- UVG = Underlying Volume Growth
- UPG = Underlying Price Growth
あまり目にしたことがない指標ですが、ユニリーバ(UL)の決算報告はこのUSG/UVG/UPGを使って説明されています。
「為替に影響される表向きの数字だけで評価しないでください」というアピールが具体的、かつ、説得力のある数字で出てくると、アナリストも評価してくるということなのでしょう。
ユニリーバ(UL)の表や図解できちんとまとめられた決算報告書と比べると、ソニー(6758)のは文章ばかりで重要な部分を読み飛ばされてしまいそうです。
決算報告書ひとつとっても、日本企業はまだまだ工夫する余地がありそうですね。
「円高で日経が落ちるのは仕方がない」・・・いい加減もうこれで片付けるのはやめませんか?
ちゃんと説明しないから、ナンセンスな方程式が当たり前になってしまうのだと思います。
というわけで、ITバブルからの塩漬けソニー(6758)を持ち続けるチキンハート(CH)ではありますけど。。。
LINK
➤ソニー - 投資家情報
➤日本経済新聞 - マーケット - ソニー
➤Unilever PLC - Investor Relations
➤Morningstar - Stock - Unilever PLC ADR (UL)
➤日本経済新聞 - マーケット - ソニー
➤Unilever PLC - Investor Relations
➤Morningstar - Stock - Unilever PLC ADR (UL)
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