昨日はわたしがインカム(配当)投資に切り替えた理由についてお話しましたが、今日はアーリーリタイア後に株式投資のみの収入になった場合の配当金に掛かる税金のお話です。
目 次
株式投資のみの収入になった場合の確定申告で取り戻せる税金
仕事を持ち平均的な年収がある時には意識が向かず気づかないと思いますが、アーリーリタイアして株式投資以外の収入が無くなると、株式の譲渡益、配当金に掛かる税金から取り戻せる還付・控除額には大きな差が生じてきます。
源泉徴収のまま放っておいて確定申告をしないと数十万を損してしまうこともあります。
以下は株式投資のみの収入を300万として、配当金(インカムゲイン)だけで得る場合、譲渡益(キャピタルゲイン)だけで得る場合とに分け、確定申告で戻る還付・控除額を含め手元に残る金額の比較グラフです。
実際には配当金も譲渡益も、その他の雑収入も混在するでしょうけど、還付・控除額の差を明確にするためこのような比較にしました。
📌 収入が配当金のみ300万の場合
📌 収入が譲渡益のみ300万の場合
濃青色(■)部分が確定申告で取り戻せるおよその還付・控除額になります。
※税金内訳の難しい話は以下の記事も参考にしてください。
日本株での配当収入が断然有利
一目瞭然で日本株での配当収入が断然有利になります。
収入が日本株の配当金のみで300万規模(正確には課税所得330万まで)の場合、最終的に掛かる税金は5%で済みます。
源泉徴収で取られた20%の税金のうち3/4は確定申告で戻ってくるということです。
日本株には"配当控除"という制度が適用されるからです。
意外とこの"配当控除"の事実を知らない人が多いように思います。
重要
・投資信託、ETFは組入比率により配当控除を受けられるかが決まります。
・不動産投資信託、REITは配当控除を受けることは出来ません。
※詳細は証券会社などに問い合わせれば教えてくれると思います。
・不動産投資信託、REITは配当控除を受けることは出来ません。
※詳細は証券会社などに問い合わせれば教えてくれると思います。
実は配当金に掛かる税金を全額控除=実質無税にすることもできるのですが、地方税は健康保険料が増額されてしまうという問題があるので源泉徴収のままにしておいた方がよく、これが5%に相当する部分です。
これはインチキしているわけではなく、税制上認められている申告方法です。
日本株の配当収入のみで生活している人ならほとんど人が確定申告で取る方法だと思います。
参考までに課税所得330万を超えると控除額は少なくなってしまいます。
その上の基準695万までだと最終的に掛かる税金は10%に上がります。それでも譲渡益(キャピタルゲイン)に掛かる税金よりは有利ですけどね。
夫婦ともに無職で別名義で株式投資すれば、それぞれ330万、合計660万規模まで配当金は5%の課税で済むことになります。
米国株での配当収入は一番不利
米国株での配当収入については、残念ながら譲渡益収入(キャピタルゲイン)のみとの比較を含めても一番不利で、受けられるのは収入に応じた所得税率による還付のみです。
配当実績に優れ人気のある米国株ですが、現地課税10%+日本課税20%となるので、結構な税金が取られます。
米国株のインカム(配当)投資に否定的な目があるのも当然のことだと思います。
英国株など配当に対する現地非課税(0%)の場合はその率分有利にはなります。
米国株で日本株と同等の配当金を受け取ろうと思った場合、最終的な課税差を計算して配当利回りの目安を上に設定しないといけません。
わたしが米国株を購入する際、購入時の配当利回りや増配率の予測に執拗に拘るのはこのためです。
📌 日本株と同じ配当金を受け取ろうと思ったら・・・
配当利回りが大きいほど手取り格差は拡大します。
JT(2914)とアルトリア(MO)、フィリップモリス(PM)などの高配当株の利回り差は課税後で比較しないと後で後悔するかもしれません。
よく外国株の二重課税の外国税額控除のことを持ち出す人がいますが、控除する対象も目的もまったく異なり、日本株に適用される配当控除と同等の優位性を得られるものではありません。
また、アーリーリタイアして株式投資による収入のみになった時点で外国税額控除は受けることができなくなるので。話題にするだけナンセンスです。
米国株のみでアーリーリタイアを目指す場合は仕事をしていた時より実質税金が上がってしまうので特に注意しなければいけないと思います。
希望的なことがひとつあるとすれば、例の年金2000万不足問題に絡んで、この先日本での配当課税が10%以下に改正されるようなことがあったとしたら、外国株でも譲渡益(キャピタルゲイン)より有利になる可能性はあると思います。
譲渡益(キャピタルゲイン)の税金に控除はない
譲渡益(キャピタルゲイン)の場合は、日本株であろうと外国株であろうと特別な控除などありません。収入に応じた所得税率による還付のみになります。
譲渡益による収入のみで300万規模なら還付されるのは5%くらいで、15%の税金は払わなければいけません。
源泉徴収どおりに放っておくなら差がないように感じますが、確定申告をして日本株の配当控除後に手元に戻る額を比較すると大きな差をつけられてしまうのです。
譲渡益を課税されない額に抑えようとする、いわゆる「損出し」という手段がありますが、数百万の調整になってしまうと売買リスクをはらみますし、そういうことに労力使うのは私は嫌です。
なお、外国株の譲渡益には国によって取引額に応じた段階的な現地税が掛かかるので注意が必要です。
英国株の場合は最低10%の現地税が掛かかります。
わたしの投資計画
アーリーリタイアして日本で株式投資して生きていく限り、日本株の配当収入が一番有利なことは間違いないので、わたしは素直にそのスタンスにすこしウェイトをおいているだけです。
昨日の記事にも書きましたが、インカム(配当)は労力を使わずに現金(キャッシュ)を調達できる手段であることも大きいです。
でも、だからと言って、日本株だけに投資すれば良いなどとはまったく考えませんし、しているわけでもありません。
米国株も、英国株も、アジア株も、場合によっては譲渡益(キャピタルゲイン)も、条件と状況によってはそのスタンスを取りに行きます。
今後、NISA枠がとてつもなく拡張するならば、新しいスタンスも取り入れるかもしれません。
今のところ米国株の配当継続力と増配期待はどこよりも高いですし、日本株の配当金と合わせて課税平均をコントロールすれば、インカム(配当)投資の方がキャピタル投資よりもトータルの課税を有利にすることができます。
配当実績に優る米国株からの配当収入を組み合わせる意味はそこにあります。
💬 その米国企業の増配傾向に変化の兆しがあるのが一抹の不安です。
ETF投資のことにも触れておくと、ETFの配当は下落相場になれば減配となるリスクが高いと思います。
普通に減配する可能性があるETFに投資するのは、アーリーリタイアして配当金から生活資金を得るという計画のもとではコアには出来ません。
補助的にポートフォリオに組入れることはあっても、メインにすることはわたし的にはありえないです。
また、実際にアーリーリタイアして、ETFの譲渡益(キャピタルゲイン)から生活資金を得るというのは実運用としてちょっとイメージが沸かないのだけど。。。
お仕事をして収入があれば景色が違うのも当然ですし、逆に配当収入が700万、さらに1000万というレベルに到達すればそこで見えてくる景色も違うことでしょう。
先のことも見据えて、今の答ひとつに絞る必要はないと思っています。
最後に税金に関しては本当に難しくて、上に例に挙げたような簡単なものではありません。雑収入やその他の諸条件があればなおさらです。
わたしが気づいていない税対策もあるかもしれませんし、とにかく他人の話を鵜呑みにせずにご自身で納得いくまで調べることが大切だと思います。
(投資と情報収集は自己責任で)
というわけで、それぞれの投資生活がうまくいきますように。
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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you
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