昨日(11.13)に英国とEU間で離脱合意の草案がまとまりました。
ブレグジットに関する一連の英国非難に対して、わたしは少々懐疑的に見るところがあります。
ブレグジットは間違っていないと思う部分
最新の資料が見当たらないので具体的な額は示せないですが、基本的に英仏独の貿易収支は
- ドイツ :黒字
- フランス:とんとん
- イギリス:赤字
日本でもそうであるように、製造業が強い輸出国は自国通貨が適度に安く(日本なら円安に)なるほど有利です。
ドイツはユーロという共同体通貨に紛れることで、マルクの時より相対的に為替安を持ち込めて恩恵を得られます。
フランスはとんとんなので、フランがユーロに置き換わっただけです。
では、イギリスはどうでしょうか。
イギリスは貿易赤字国です。通貨はポンドですがEUにいる以上はユーロに吊られます。ドイツとは逆に有利な為替レートに導くことができません。
EUという共同体組織の中でもっともユーロ通貨の恩恵を受けているのはドイツであり、被害をこうむっているのはイギリスとなります。
一方で、負担金はGDPに準じて決められるので、ドイツが一番負担するのは当然として、イギリスはフランスに並ぶ負担金を払わされます。
さらに、イギリスはフランスやイタリア、スペインほどの農業規模もないため、EUからの補助金分配は少なくなります。
イギリスにとってEUにいる経済的メリットは実は小さくて、経済を考えれば「ブレグジット」を決断したことは必ずしも愚かな選択とは言えない面もあると思うわけです。
イギリスのEU離脱で本当に困るのはもしかしたらEUの方であり、貧乏くじ引くのはドイツかもしれません。
ブレグジットの投票結果から見えること
2016.6に英国は国民投票によりEUからの「離脱」を選択しました。
投票前は「残留」の予測が大勢を占めていたので世界中が驚いたわけですが、投票結果のマップを見るととても興味深いことがあります。
Wikipedeia (ja) -
➤イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票
➤イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票
「残留」に投じたのはロンドン=CITYとスコットランドと北アイルランド、「離脱」に投じたのがロンドンを除くイングランドとウェールズとはっきり分かれています。
この結果を見て、純粋にEUに「残留」したかったのは、ロンドン=CITYだけだったのかな、と思いました。
スコットランドと北アイルランドは対イングランドとの複雑な関係があり、「残留」に寄るのは他の事情も影響したかと思います。
本当にブレグジットが愚かな選択だったら、イングランド、ウェールズでここまで「離脱」と出る結果はありえないと思います。
ロンドン=CITYはグローバル金融サービスが中心ですから、CITYで働く人にとってはイギリスの貿易収支のことなど実はどうでもよく、EUに残ってくれた方が彼らにとって都合が良いのでしょう。
さらにブレグジットの最大の争点であるかのように報じられた「移民問題」ですが、ロンドン=CITYにその移民の人口が集中している背景があります。
日本も含め世界中のメディアやジャーナリストは「移民問題」や「EUの平和理念」をクローズアップして世論を先導しました。
最初からわかる人には「投票結果」も「ブレグジットの道理」も見えていて、メディアやジャーナリストの意図的な先導にまんまとやられたのは日本市場だけだったということでしょうか。
アメリカにおいても同じで、「トランプになったら経済に好いことない」などと言ってたのは誰?
メディアやジャーナリストの人たちの言うことって、一面の理想論だけのことが多いので、すべて懐疑的にみないといけないと思うのですが、いつも騙されてしまいます。。。
EU非加盟国のスイスやノルウェー
スイスやノルウェーはいずれもEUには加盟していませんが、EU加盟国の多くより経済が上手く回っています。通貨も自国通貨です。
スイスは金融立国として今なお健在ですし、EUとは適度な距離を持った方が上手くいくのかもしれません。
イギリスもスイスやノルウェーのような立ち位置を目指すのではないしょうか。
それともまたまた「大どんでん返し」が起きるのでしょうか。
というわけで、今日のお話はチキンハート(CH)の勝手な考えなのでご注意を・・・
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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you
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