昨年のことになりますが、12/17に英国の規制当局が公益事業に対する実質の料金引き下げを提案しました。
日本でも通信料金の引き下げをめぐる出来事がありましたが、通信・公益セクターなどの規制事業に対する高官干渉直後の株価の動きから思うことです。
規制事業への高官干渉直後の株価は、急落→反発
📈 高官干渉前後の通信・公益株の株価の動き(日本株は¥,NGGはADR$)
12/17に英国の規制当局が公益事業に対する実質の料金引き下げを提案し、発表直後に電力・ガスの配給網を提供するナショナル・グリッド(NGG)の株価が急落しました。
📍 情報元:Morningstar - News (www.morningstar.co.uk)
➤TOP NEWS: National Grid "Disappointed" With Proposed Financial Returns
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日本では菅官房長官の度重なる通信料金の引き下げに関する発言が影響したのか、ドコモ(9437)が10/31に料金値下げ計画を発表し、翌11/1は同業のKDDI(9433)などとともに株価が急落しました。
高官干渉の対象となったセクター、銘柄はいずれも発表直後に10%を超える下落を記録しますが、その後の株価は短期間に直近安値から10%近く反発切り返して落ち着くという現象が見られます。
NTT(9432)にいたっては急落前の株価を取り戻しています。
また、12月中旬からはマーケット全体が悲観相場入りしましたが、高官干渉を受けた対象の通信・公益株の株価は急落時の安値を割っていないのです。
短期的な話だけではなく中長期的にも、規制事業への高官干渉により、通信・公益セクターの株価が急落した時は「買い場」という判断が出来るのかもしれません。
「事故は買い」に共通するものがあるように思います。
高官干渉は一種の「お墨付き」
菅官房長官は通信料金の引き下げに言及した際、「通信会社は儲けすぎ」という表現をしました。
先月の英国の公益事業に対する一件にしても、様々な情報と思惑から判断しての提案と思われます。
そもそも、安定した収益を見込めない事業に料金引き下げの提案をするわけがありません。
高官干渉が入るということは、裏を返せば「その事業に安定した収益を見込める」と判断されており、ある意味では政府高官がその事業の収益性に「お墨付き」を与えたと捉えることも出来ます。
税制面と絡んだ財政上の問題、政府支持率とも絡んだ思惑がそこにはあるはずで、確実に助けてくれる通信・公益セクターに政府高官もすがりつくということではないでしょうか。
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たばこ事業への高官干渉は別物
たばこ事業も高官干渉がよく入る事業としてお馴染みです。
アメリカでは11/9にメンソールたばこに関する規制が発表された後、アルトリア(MO)、ブリテッシュアメリカン(BTI)の株価は急落し、その後も下落を続けています。
どうやら、たばこ事業への高官干渉は、通信・公益事業に想像されるような「お墨付き」とは縁遠いのか、急落後の株価反発も期待できないという結果になっています。
「たばこは値上げをすれば良いので収益は今後も安定」とよく耳にしますが、この論理については少々疑うところがあります。
海外の状況はよくわかりませんが、日本ではほぼ規制事業とも見られ、基本的には「たばこ増税」に合わせて「料金の値上げ」を申請しているわけで、JT(2914)やフィリップモリス(PM)が勝手に料金を上げられるわけではありません。
売上本数の減少が一層加速した場合、税収増に繋がらなければ「増税」の意味はなくなり「値上げ」も難しくなると思います。
たばこからの税収が減るということは、そのしわ寄せはいずれどこかに現れると思いますけどね。。。
というわけで、通信・公益セクターへの高官干渉には注目していきたいと思っています。
LINK
➤NTT DOCOMO, INC. - 株主・投資家情報
➤日本経済新聞 - マーケット - NTTドコモ
➤KDDI CO. - 投資家情報(IR)
➤日本経済新聞 - マーケット - KDDI
➤National Grid - Investors
➤Morningstar - Stocks - National Grid PLC ADR
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