先週末に米国10年債と3か月債の逆イールド現象が発生して騒がれています。
FOMCが投機家たちのお望みどおりに「利上げ終了」を宣言したのですから、逆イールドが起きるのは当然の現象だと思うのですが、その「逆イールド」を株価下落の理由にしようとする雰囲気に多少の違和感を感じます。
目 次
政策金利を転換させたのだから当然の逆イールド
先週FOMCがこれまでの「利上げは様子見」からほぼ「利上げは終了」とも取れるメッセージを出しました。
いざ「利上げは終了」=「政策金利の転換」となると、途端に「景気後退入り」が現実味を増したのか、大きなお金を動かす人たちは真っ先に株式から逃げ出してしまいます。
するとリスクの低い債券にお金が流れます。
まずは利回りの高い長期債が買われ、その利回りが低下してくると、短期債の利回りと接近し、行き過ぎると利回り差の逆転現象が起きます。
なので、逆イールド現象自体は必然のものでいちいち取り上げることでもないと思います。
ただし、昨年10~11月に生じた逆イールドと先週末に生じた逆イールドは出所が違うと思います。
昨年10~11月に生じた逆イールドは、株式が買い上げられることで、利回りの低い短期債が売られ、その利回りが上昇し、長期債との利回り差の逆転が生じたわけです。
つまり、株式の買われ過ぎ、景気加熱感が引き起こした逆イールドと考えられます。
対して、先週末に起きた逆イールドはFOMCの政策金利の転換に起因する株式売り→債券買いから生じたものだとすると、昨年10~11月の逆イールドなんかとは比較にならないくらい、最初からわかっている警戒すべき事象だと思いますが、どこか「逆イールド」が生じたから株価が下落したと納得しようとする雰囲気に多少の違和感を感じます。
同じタイミングで発表された経済指標にしても、年明けから弱い経済指標もたくさんありましたから、なぜ今回だけ反応するの? と思います。
ましてや"PMI"などは人の気持ちが元ですから、市場景気のアメリカにおいては株価の下落リスクに後追いする経済指標と考えられます。
まあ、投機家たちと一緒になって「利上げは間違い」とあれだけ言ってきたアナリストさんたちは、株価の大幅下落の原因が「FOMCの利上げ終了にあった」とは今さら言えないでしょうね。
もちろん、「利上げが終了したらもう終わり」と指摘していたアナリストさんも少数ですがいらしゃったことは事実です。
逆イールドとリセッションまでの関係が複雑すぎる
マーケットの先行きを予測する対象債券としては、長らく2年債と10年債に焦点が当たってきましたが、今では3か月とか1年という短期債、長い方は30年という長期債まで比較の対象になってきました。
これだけ期間が細かい債券がすべて比較の対象になってしまうと、ちょっとした株価の変動や政策金利の転換、その他の要因で利回り差の乱れが生じてしまうのもよくあることになってしまいます。
結局のところ、「逆イールド」が起きたから株価が上下するのではなく、株価が上下するから「逆イールド」が生じる、と考える方が自然です。
今週末に起きた「逆イールド」も過去の大きなリセッションからその関係を適合させるには「この状態が10日以上続いたら1年以内・・・」とか、かなり複雑な条件を引っ張り出しています。
「10日連続」とか「1年以内」とかいう条件は、他の要因が大きく入り込んでいたとしてもおかしくないですよね。
「1年以内にリセッション」なんて、根拠もなくあてすっぽに言っても当たるレベルだと思います。
「逆イールド」から物事を考えるからややこしくなるのではないでしょうか。
わたしの投資計画
FOMCが「利上げは終了」、「利上げ」よりも「利下げ」に傾いたことは事実なわけですから、個人的には「逆イールド」など関係なく「景気後退入り」を覚悟します。
このブログのタイトルとおり、『熊(ベア)を恐れるチキンハート』局面ということです。
良く言えば柔軟に、本音を言えば弱気に、投資スタンスを取るしかないと思っています。(いつも弱気ですけど。。。)
この先、大きなリセッションが待っているのか、長期のもやもやなレンジ相場になるのかはわかりませんが、現時点で買えるのは、高配当で低P/Eで確実な業績維持と配当継続力のある地味な企業ということになります。
好増配や高P/Eのキャピタル期待の企業はリスクを感じるので当分パス、保有している分は局面によっては利確or損切も視野に入れて検討しなければと思います。
あとは、今に始まるわけではないですけど、キャッシュを十分確保して、ブレグジットでも何でもよいですが、ひとつのきっかけで始まるかもしれない大きなリセッション=本気買いのチャンスをひたすら待ちたいと思います。
ひとつ、マーケットに対してポジティブに考えられるのは、昨年終盤からのどたばたはマーケットの都合だけで動いており、現実の経済で何か金融危機や破綻が起きているわけではないということです。
大きなリセッションの発生には決定的な材料が欠けているように思います。
なので、来月、いや来週になったらわたしも180度違うスタンスを取るかもしれません。
投資で重要なのは「今日の間違いをすぐに認め、明日180度違う方向を向けるか」だと思います。
というわけで、「利上げ終了」は熊に餌をあげたようなものだと思います。
LINK
株式マーケットデータ (stock-marketdata.com)
➤米国債利回り(2年・10年・30年)
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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you
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