公益セクターでは突出した自社株取得を実施する東京ガス(9531)の株主還元について、勝手に思うことです。
目 次
東京ガス(9531)の自社株取得
以下は東京ガス(9531)と大阪ガス(9532)の株主還元額の推移です。
(🔎グラフはクリックすると大きくなります)
📍 東京ガス(9531)
📍 大阪ガス(9532)
東京ガス(9531)には以下の株主還元方針があり、同セクター他社との比較では突出した自社株取得を実施してきました。
総分配性向 = [N年度の配当 + (N+1)年度の自社株取得] / N年度の連結純利益
同社は現在、「株主還元政策の見直し」を検討しているようですが、どのような方針になるか詳細は不明です。
公益セクターにおける自社株取得効果を疑う
自社株取得は短期的な株価の下支え、償却による1株利益(EPS)の引き上げに寄与するものですが、日本の公益セクターにおいては、過剰な自社株取得に長期的な効果が本当にあるのか、東京ガス(9531)の結果を見るにいささか疑問を抱くところです。
💹 東京ガス(9531)と大阪ガス(9532)の株価比較
* ➤Yahoo! Finance
長年に渡り大量の自社株取得を実施してきた東京ガス(9531)とほとんど実施していなかった大阪ガス(9532)の株価を比較すると、2014~2015年には東京ガス(9531)の自社株取得の効果が認められそうですが、その後はあまり認められず、今に至ってはキャピタル的に大差がありません。
結局、公益セクターの場合は利益追求を実質規制されているようなものですから、いくら1株利益(EPS)を引き上げたところで、肝心の営業利益を抑えられてしまうなら自社株取得に投じた効果も吹っ飛んでしまうように思います。
長期的効果が薄いなら過剰な自社株取得は控えた方がいいと思うわけです。
配当実績
以下は東京ガス(9531)と大阪ガス(9532)の配当実績の比較です。
東京ガス(9531) | 大阪ガス(9532) | |
📍 配当実績 | ||
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📍 キャッシュフローと配当性向 | ||
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あれだけの自社株取得をして1株利益(EPS)を高めているにも関わらず、増配サイクルに差はなく、配当性向では大阪ガス(9532)の方に余力がありそうなのは皮肉な結果です。
やっぱり自社株取得分の価値が消えているとしか思えないんだけど・・・
沖縄電力(9511)みたいにやってほしい
累進的に株主還元を高める手段として、沖縄電力(9511)さんの手段はとても優れていて賢いと思います。
実際の事例では[1:1.01]から%レベルの株式分割を実施し、1株あたりの配当額は変えずに増分の株式を自社株取得して償却しています。
こうすれば、分割比率分が実質増配となり、利益追求とは異なる公益セクターに適した自社株取得の効果が生じるはずです。
株式の分割は配置落ちの後日でよく端株になりますから、投機目的の人たちはやりづらくなって近寄ってこないという効果も期待できます。
日本企業はどうも5円とか10円とか切りのいい額ベースでの増配が好きなようですが、前年同額の増配では当然ながら増配率が縮小してしまいます。
また、そもそも円単位(せいぜい10銭単位)では、%ベースの増配って難しいですよね。
株式分割&自社株取得のセット手段なら%ベースでの増配計画が可能になるでしょう。
沖縄電力(9511)さんの株主還元手段を東京ガス(9531)さんもぜひ採用してほしいところです。
公益セクターに限らず、どのセクターでも累進的に株主還元を高める手段としては有効だと思います。
JT(2914)も武田(4502)もキヤノン(7751)もこの方式だったら、業績悪化期も無理なく今なお増配を続けられたのでは?
というわけで、東京ガス(9531)の決算発表を見て勝手に思ったことでした。
LINK
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