2020-01-14

リセッション(景気後退)が無くても株価の調整局面は必ず来る

Grüß Gott / Hello

S&P500の過去10年間の調整局面について、下落率や期間などを調べてみました。

VDC(生活必需品ETF)と併せて調べてみました。


  目 次



  リーマンショック以降の調整局面


最初に今日の結論から申しておきますと、

リセッション=景気後退が無くても株価の調整局面は毎年必ず来る

ということです。


以下のリストは過去10年におけるS&P500VDC(生活必需品ETF)5%超の調整局面です。

📌 S&P500とVDCの調整局面
Year
S&P500VDC (生活必需品ETF)
年間高値底値期間調整年間高値底値期間調整
2010
12.8%
1/192/50.5-9.2%
11.7%
12/42/52-6.9%
4/267/12-17.1%4/57/13-10.0%
2011
0.0%
2/183/161-7.1%
11.0%
3/93/160.5-4.0%
5/26/161.5-8.2%5/208/92.5-12.4%
7/710/43-20.8%9/2010/40.5-7.9%
10/2711/251-10.4%10.2711/231-5.0%
2012
13.4%
4/26/42-10.9%
7.9%
4/26/42-4.5%
9/1411/162-8.9%10/512/313-7.4%
2013
29.6%
5/226/241-7.5%
25.2%
5/156/241.5-6.9%
8/28/281-4.8%8/58/291-6.4%
2014
11.4%
1/152/50.5-6.1%
13.9%
12/92/32-9.7%
7/248/70.5-4.3%7/148/60.5-5.3%
9/1910/151-9.8%10/910/.160.5-5.0%
2015
-0.7%
12/292/21-5.4%
2.9%
1/222/20.5-5.0%
7/208/251-12.5%8/68/240.5-11.7%
2016
9.5%
11/32/113-14.5%
3.8%
12/161/201-8.2%
6/236/272.5-5.8%6/206/270.5-3.1%
8/1511/42.5-5.0%7/1412/14.5-10.1%
2017
19.4%
3/13/271-3.3%
9.0%
3/14/41-2.2%
8/88/210.5-3.0%6/511/75-8.3%
2018
-6.2%
1/262/90.5-11.8%
-10.2%
1/295/33-16.2%
9/2112/263-20.2%11/1212/261.5-15.1%
2019
29.2%
5/16/31-7.6%
22.9%
5/165/310.5-5.1%
7/268/50.5-6.8%7/308/50.5-5.8%
* VDC:Vanguard Consumer Staples ETF
* "調整"の赤字は10%以上の調整
* 枠は調整局面が他方のみに当てはまる時

  • 年間最大下落率の平均:S&P500=-10.4%, VDC=-9.8%
  • 年間10%下落:S&P500=6/10, VDC=5/10
  • 年間 7%下落:S&P500=9/10, VDC=9/10, S&P500orVDC=10/10
  • 調整期間最大:S&P500=3か月, VDC=4.5か月


こうして見ると、2年に1度は10%レベルの調整下落があります。

また、10%レベルの調整がない年でもS&P500かVDCのいずれかに7%レベルの調整が必ずあります。

わたし的には「昨年は記憶にないくらいアメリカ株の買い場が来なかった」という印象が強いのですが、これは投資対象のコアとしている生活必需品の昨年調整がVDCにして過去10年で最小(5.1%)だったことからも間違った印象ではないと思います。

対照的に、2017年にはS&P500の年間調整は最小(3.3%)でしたが、生活必需品のVDCには8.3%の調整があったので買い場がないという印象はなかったです。

S&P500などのインデックス型ETFが流行りだしたのもこの頃というのがなんとなくわかりますね。


調整期間に目を向けると、まず調整の開始時期に偏りはないようです。一年のどの時期からでも調整が始まる可能性があります。

調整期間はS&P500で最大3か月ほどです。リーマンショック級のリセッションでない限りは高値からの調整は最長でも3か月で切り返すということになります。

また、下落率が14~15%級の調整は切り返すまでいずれも2か月の期間を要しています。


毎年≒7%の調整は必ず来る、長期調整なら≒14%、最大調整なら≒21%、多少無理やり感はありますが、妙な等差が表れていますね。


※歴史的な大リセッションの考察についてはこちら

  7%という不思議な数字


インカム投資をしている人なら不思議と"7%"という数字に馴染みがあるかと思います。

配当が10年で倍増するのが増配率7%の継続です。ちなみに増配率14%なら5年で倍になります。

配当利回りを購入目安にする場合、増配率7%、あるいはその倍の14%を長期で期待できる好増配銘柄なら購入ラインをその期待分下げることができます。

(実際には10年間好増配を期待するのもリスクあると思いますけど。。。)


S&P500の過去10年の年間調整でも最小の下落目安として、この7%という数字が出てくるのは面白い現象です。

インカム投資の立場で都合のいいように考えれば、株価が7%下がれば1年分の好増配率を先取りした効果があるから、そこでインカム投資家は買いに動くということはあるかと思います。

調整局面が大きくなるほど特に増配率は低いけど長期間減配していない高配当株になおさら買いが入るのも自然なことだと思います。

  わたしの投資計画


わたしはまとまった購入を仕掛ける"本気買い"の目安として、これまで以下のような自分ルールを設けていました。

📌 旧チキンハートの本気買い目安(~2019)
  • 1段目:高値から-15% 投資配分=3/10
  • 2段目:高値から-30% 投資配分=4/10
  • 3段目:高値から-45% 投資配分=3/10


過去10年の調整局面の実態から見ると"本気買い"のタイミングは実質二年に一度の1段目だけであり、悲しいけど臆病なチキンハートぶりが露呈しています。

リーマンショックから10年を経過し、すこし現実的に作戦を変更しようかなと思っています。

📌  新チキンハートの本気買い目安(2020~)
  • 1段目:高値から- 7% 投資配分=1/10
  • 2段目:高値から-14% 投資配分=3/10
  • 3段目:高値から-21% 投資配分=3/10
  • 4段目:高値から-42% 投資配分=3/10


自分なりに導き出した7%という数字にしばらく付き合ってみたいと思います。

これまでの三段待ちを四段待ちに変更し資金配分も調整します。

現在の指数の位置からは”本気買い”の目安はこうなるでしょうか。
直近高値
1段目:-7%2段目:-14%3段目:-21%4段目:-42%
投資配分1投資配分3投資配分3投資配分3
DJIA1/1029,009.0726,978.4424,947.8022,917.1716,825.26
S&P5001/133,288.133,057.962,827.792,597.621,907.12
N22512/1724,091.1222,404.7420,718.3619,031.9813,972.85

作戦変更をしても資金3/10を最後の-40%超に備えておくことは外せないです。

ITバブルの崩壊リーマンショックを経験して、大暴落に対抗できるのは最後の弾(キャッシュ)を持つことだと思うからです。

大袈裟かもしれませんが、生涯最大になるかもしれない買い場を逃さないためでもありますね。

  今現在のマーケットから思うこと


昨年後半から高値を取り続ける強いアメリカ株を前に、"トレンドに逆らうな"的なアナリスト発言が目立ってきたように思います。

ついこの間まで「これ以上は上がらない」と言っていたアナリストたちが「これ以上は下がらないに変わっています。

利確を前提とするキャピタルゲインを求めるなら、このトレンドへの乗船案内も当然だと思います。

また、コツコツ積立を目指すなら、そもそもトレンドなどどうでもいいことです。

でも、タイミングを見てインカム投資したいという場合はなかなか思い切って入れない展開が続いています。


"買わないリスク"も気になるから途中で摘み食いもするかもしれないけど、

リセッション=景気後退が無くても株価の調整局面は毎年必ず来る

このことだけは忘れずにマーケットと向き合っています。

(投資は自己責任で)


というわけで、トレンドに逆らう愚かなチキンハートでした。

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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you

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