2020-03-11

サウジ逆ギレで原油のチキンレースはいつまで続く?

Grüß Gott / Hello

先週、ロシアの減産拒否からOPECは決裂、面子を潰されたサウジアラビアが捨て身の対抗増産で原油価格が暴落しました。

新型コロナの影響で原油需要が縮小する中、再び始まった原油チキンレースはいつまで続くのでしょうか。

  目 次



  OPEC決裂


先週、Mar.5-6に開催されたOPECプラスで期待された減産調整に対しロシアがこれを拒否

調整役として面子を潰されたサウジアラビアが逆ギレ的に対抗増産に踏み切り原油価格は凄まじい暴落に見舞われました。

Mar.9の原油市場は-30%超、2016年2月のWTI安値$26割れはかろうじて守ったという状況です。

📈 原油(WTI):5年チャート

📈 原油(Brent):5年チャート

これを受けた週明けのNYダウはサーキットブレーカー発動の大暴落、最大-2158.71(-8.35%),終値-2027.76(-7.79%)と史上最大の下げ幅を記録しました。


現代のマーケットにおいて、いかに"原油"というものが巨大な力を持っているかが改めて認識されたと思います。

"化石燃料"に関していろいろ意見はあるでしょうけど、これが受け入れるべき現実なのです。


また、「この原油暴落でアメリカのシェール産業が痛み、金融不安に繋がる」と突然言い出すアナリストがにょきにょき沸いて出てきたことにはいつものことながら呆れています。

たった一回のOPECの行方でそこまでマーケットが破壊されるリスクがあったなら、これまで好調だったマーケットでこそ"原油の恐ろしさ"を指摘すべきだったのでは?

事が起きてからなら誰でも言えます。

  ロシアとサウジアラビアの思惑


ロシアの採算ラインはBrentで$40くらいだそうです。

OPEC開催時点でBrentは$50近辺を維持していたのでロシアとしたら減産に応じる必要はないと判断したようで、加えて大統領選を控えるアメリカへの揺さぶりなどもあったのではないでしょうか。

世界中がロシアの対応に失望する中、さらにサウジアラビアが現状維持どころか対抗増産に踏み切った、これがかなり予想外の衝撃で、サウジ側の思惑とはもはや「やられたらやりかえす」の面子を賭けた喧嘩に見えます。

この時点でサウジアラムコ(2222.SR)の株価はIPO価格を割り込みます。なりふり構わないサウジの逆襲です。

ロシアもサウジアラビアも新型コロナウイルスの感染者が少なく、死者が出ていないことが強気の背景にあるのかもしれないですね。

でも、ロシアにとってはサウジアラビアの対抗増産は予想外だったのでは・・・相手がアメリカとの関係が深いサウジだけにロシア的ないつもの威圧行為も出来ないでしょう。


そんな勘ぐりする中で早速、ロシアが5月頃にOPECと緊急会合の可能性を示唆しましたが、現時点でサウジアラビアがこれを無視しているようです。(「今さらふざけるな!」というところでしょうか?)

  📰 情報元:中日新聞 - ニュース (3/10)
      ➤ロシア閣僚、OPECと再会合か 5月にも、サウジは否定的

今のところ、ボーダーラインだけは確保したいロシアに対し、捨て身のサウジという印象です。

そして、このチキンレースの嵐が過ぎ行くのをじっと待つしかない世界のマーケットであります。


原油(WTI)が$30割れを起こしたという過去では2016年1月~2月の七週間があります。(ちなみに同期間を含み$40割れは15か月に及びました。)

この時もOPECを無視するアメリカのシェール産業にサウジアラビアが喧嘩を仕掛けた原油チキンレースでした。

今回、ロシアが"5月頃"と示唆したのも耐えられるのが2か月くらいということなのでしょうか。


なので、原油の超低位置は二か月くらいは覚悟した方が良さそうです。

チキンレースだからいずれまた戻るとは思いますけど、心理的には$26だけは割ってほしくないです。

(投資は自己責任で)

  わたしのポートフォリオへの影響


わたしのポートフォリオではBPエクソン・モービル(XOM)で時価3%(原資4%)ほどを保有していますが、石油セクターでは完全に含み損を生じています。

BPはまだ許容範囲として、昨年秋からこつこつ買い増していたエクソン・モービル(XOM)はちょっとひどい状態。。。

今年の勝負銘柄のひとつとまで思って買い増し中でしたが、ちょっと買い始めるのが早すぎたと後悔しています。

かと言って、仮にここまで買うのを待てたとしたも恐くて買えなかったと思うけど。。。


エクソン・モービル(XOM)は次期四半期が増配期なので、その結果如何(=減配)ではさすがに処理を考えなければいけないかなと思っています。

まあ、こんな状況でもエクソン・モービル(XOM)に関しては増配、最悪でも配当維持の期待は強いです。

ちなみにBPは保有継続の予定です。



というわけで、原油を動かすお金持ちのみなさま、恐いからもう喧嘩はやめて。。。

LINK
世界のマーケット情報
  ➤原油価格 (nikkei225jp.com)
Wikipedia (ja)
  ➤サーキットブレーカー制度

Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you

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