2019-03-12

日本航空(9201)の再建は本物か、いよいよ試される時

Grüß Gott / Hello

ボーイング(BA)の737-MAX墜落事故に揺れる航空業界ですが、今日話題にする日本航空(9201)の懸念材料は経営破綻からこれまでの再建が本物かどうか。

JALは来期からそれを試される環境に置かれます。

  目 次



  法人税の減免優遇が終わる


日本航空(9201)に適用されてきた法人税の減免優遇がこの3月で終了します。

日本航空(9201)は2010年に経営破綻、会社更生法が適用され多額の公的資金の注入、法人税の減免優遇を受け、破綻からわずか3年後に再上場、直後に過去最高益を記録しました。

減免優遇で産み出された1兆円を武器に航空料金の値下げ競争を誘発するなど、ライバルのANA(9202)から「公正さを欠く」とクレームがあがるほどでした。

一連の優遇措置の支えが無ければ、日本航空(9201)の競争力には疑問が残り、最高益更新はなかったと思われます。

日本航空(9201)の再建が本物かどうかは優遇措置が消える来期から試されることと思います。

  日本航空(9201)の業績推移


📍 売上と営業利益


📍 キャッシュフロー


📍 日本航空(9201)とANA(9202)のROE/ROA比較


売上と営業利益はまずまず安定し、キャッシュフローは問題ないように見えますが、気になるのはROEROA減少です。

ANA(9202:青い線)が上昇傾向にあるのに対し、日本航空(9201:赤い線)は下落傾向です。

昨年2018年3月期実績ベースではROEが逆転しています。

これが来期以降、何を意味するか、実績推移に注目したいです。

  経営破綻の背景


①自民党に振り回され赤字拡大へ

2000年以降、公共事業に対する風当たりが増す中、高速道路などの公共事業が縮小されます。

その代わりに地方に空港が建設されるようになりました。

自民党政権らしい、ずる賢い公共事業のすり替えだったと思います。

空港が出来れば飛行機を飛ばさなくてはなりません。

しかし、実態は採算の合う路線になるはずがなく、それが解っていながら日本航空(9201)は国からの支援と引き換えに路線を背負わなければいけなかったわけです。

当然ながら赤字路線の拡大となります。


②民主党に振り回され破綻へ

民主党への政権交代により、自民党時代の「お金の無駄使い」の象徴として日本航空(9201)は標的となり、巨額の赤字を抱えていよいよ追い込まれます。

国は日本航空(9201)への支援を続け存続させるか、民主党内でも割れて不透明な駆け引きは最後まで続きました。

実質国主導で赤字路線を背負わされていたわけですから、日本航空(9201)側にも言い分もいっぱいあったことでしょう。

アメリカン航空(AAL)から出資の話もありましたが、ナショナルフラッグを外資(特にアメリカ)に干渉されることを民主党は嫌ったのか、株主採決もなくこの話はお流れとなります。

その後も有効な解決策など出ず、時間だけがだらだらと過ぎ、万策尽きた日本航空(9201)は2010年についに破綻します。

民主党政権らしい、方向性の定まらない破綻へのプロセスだったと思います。


③日本航空(9201)自身のわがまま

日本航空(9201)の社員にはとんでもなく優遇された企業年金というものが存在していました。

この企業年金の無理な運用が日本航空(9201)の経営を悪化させた要因のひとつとされており、日本航空(9201)が巨額の赤字を抱えても自ら修正することはありませんでした。

おそらく、「親方日の丸」が蔓延し、「国がJALを潰すわけがない」という社員、OBの甘えと驕りがあったように思います。

POINT
再建のための優遇措置が消える今、この「親方日の丸」の甘えと驕り気質が完全に消えた企業になっているかが大きな鍵を握ると思います。

日本航空(9201)は国内2位の航空会社です。ANA(9202)さんの方が格上です。その自覚はあるでしょうか?

空港で見かけるパイロットの姿を見る限り、わたしにはあまり伝わってこないです。。。

  わたしの投資計画


思い出したくもありませんが、わたしも日本航空(旧9201)のホルダーでした。紙くずとなった株券を最後まで握っていた一人です。

わたしも株主優待欲しさに「親方日の丸」に甘えていたんだと思います。

気持ち的に航空会社の株はちょっとでいいから持っていたいのですが、現在の投資ポリシーでは航空会社への投資には距離があるかなと思います。

とにかく競争が激しいし、安全を求められる裏での行き過ぎた値下げ競争の傾向は業界全体の利益圧迫に直結してしまうと危惧すること。(そもそも継続的に儲かる事業なのか?)

また、航空会社はマーケットがどの方向に動いても何かしらのデメリットが生じてしまう特異な環境にあること。

円高に触れれば景気懸念に左右される、円安に触れれば膨らむ経費が懸念される、という風にです。

マーケット以外にも、自然(天候)、地政学、そしてあってはほしくない事故のこともあります。

日本航空(旧9201)だけではなく、アリタリアパンナムユナイテッド(現UAL)などナショナルフラッグクラスの航空会社の破綻事例が多すぎることも投資に消極的になります。

バフェットさんも飛行機が大好きみたいですけど、彼の投資で何度も失敗しているのが航空会社への投資ではないでしょうか。



というわけで、政権が変わったら旧政権との関係で負債の多い企業は要注意だと思います。

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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you

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