2019-06-10

ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)がレイセオン(RTN)との合併を正式発表

Grüß Gott / Hello

6/9(EDT) ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)レイセオン(RTN)との合併を発表しました。

新会社名は『レイセオン・テクノロジーズ』となり、航空宇宙・防衛部門の売上高でロッキード・マーチン(LMT)を凌ぐ巨大企業の誕生となります。

  目 次



  ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)がレイセオン(RTN)との合併を発表


  📌 情報元:United Technologies - Events & Presentations
    - ➤United Technologies Aerospace Businesses and Raytheon to Combine in Merger of Equals

6/9(EDT) NYダウ採用銘柄でもある名門機械メーカーのユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)がミサイルなどで有名な防衛メーカーのレイセオン(RTN)との合併を発表しました。

ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)は空調事業とエレベーター事業をスピンオフした後、株式交換によってレイセオン(RTN)と合併し、『レイセオン・テクノロジーズ (Raytheon Technologies)』が誕生します。

航空宇宙・防衛セクターとしては最大規模の合併となり、対象事業の売上高は$74binに達する見込みで、ロッキードマーチン(LMT)の≒$60binを大きく上回る巨大企業となります。

新会社のCEOには現ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)のCEOグレッグ・ヘイズ(Greg Hayes)氏が就任する予定です。

実質、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)によるレイセオン(RTN)の買収と見てよいと思いますが、現レイセオンの経営陣も新会社の経営陣として参加します。

新会社の株主構成比率は、"UTX:RTN=57:43"、 レイセオン(RTN)株主には1株につき新会社株2.3348株が割り当たります。

合併の噂が大きく報じられたのは6/8(EDT)ですが、極めて詳細な部分まで既に協議が進んでいたということになります。

  気になること


①:のれん代の行方

ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)は昨年も航空機部品メーカーのロックウェル・コリンズを買収しており、2018年の"のれん代"は売上高比で70%を超えています。

航空宇宙・防衛部門に掛かる"のれん代"だけに絞ると売上比はさらに肥大するのか縮小するのか気になるところです。

ちなみにレイセオン(RTN)の方も売上比50%を超える"のれん代"を持っているようです。

"のれん代"をどう評価するかは様々な見方があるかと思いますが、長期的なインカムゲインを目的とする投資においては将来の負をもたらすリスク要因とわたしは考えます。


②:NYダウの入れ替えは起きるか?

ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)は現在NYダウの構成銘柄ですが、この合併により航空宇宙・防衛事業に特化した場合、NYダウに採用され続けるだろうかと気になりました。

売上比的にまさか空調事業とエレベーター事業の方が残るわけがないのですが、レイセオン(RTN)という極めて国防に影響する企業をNYダウに残すのかなと思いました。

  両社の業績と配当を比較


    (🔎 グラフはクリックすると大きくなります)

    UTXRTN
    📍 売上と営業利益とのれん代

    📍 売上と営業利益とのれん代

    📍 キャッシュフロー

    📍 キャッシュフロー

    📍 ROAと配当性向

    📍 ROAと配当性向

    📍 配当実績

    📍 配当実績

    • 配当利回り
      - 5年間平均:2.31%
      - 配当落日の最高:2.66%
      - 配当落日の最低:2.05%
    • 増配率
      - 2017-2018:4.41%
      - 5年間平均:5.26%
    • 連続増配
      - 25年連続増配中
      - 47年間減配なし
        …増配回数は42回(89%)
    • 自社株買い
      - 2018:0.1%
      - 5年間平均:3.15%
    • 配当利回り
      - 5年間平均:2.02%
      - 配当落日の最高:2.27%
      - 配当落日の最低:1.71%
    • 増配率
      - 2018-2019:8.68%
      - 5年間平均:9.34%
    • 連続増配
      - 14年連続増配中
      - 54年間減配なし
        …増配回数は41回(76%)
        ※表示以上の年数の可能性あり
    • 自社株買い
      - 2018:0.21%
      - 5年間平均:0.18%

    - RTNの方が業績的、財務的、配当的にも魅力があるように見えます。
    - UTXは"のれん代"の急上昇とROAが低下気味なのが少々不安

  わたしの投資計画


防衛セクターへの投資というのはあまり声高に話題にしづらいところはありますが、投資と割り切って判断すると、これだけ長期的に堅い製造業は他にない印象があります。

ボーイング(BA)ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)も代表格ですが、防衛という点に特化するとロッキード・マーチン(LMT)レイセオン(RTN)がいつも注目されてきたかと思います。

チキンハート(CH)も比率は大きくありませんが、ロッキード・マーチン(LMT)を保有しています。

そのロッキード・マーチン(LMT)を上回る航空宇宙と防衛事業に特化した企業となる新会社『レイセオン・テクノロジーズ (Raytheon Technologies)』にはもちろん注目しますが、レイセオン(RTN)の株式配分は額ではなく既に新会社の株式数で決定されていることもあり、相対的に今から入るのはタイミングが悪いかなと思うところです。

むしろ、この合併劇で少なからず影響を受け、今後どのような対抗策を講じていくのかが注目されるロッキード・マーチン(LMT)の方に投資妙味、そのタイミングが来るかに注目してみたいと思っています。

まあでも、防衛セクターは長期チャート的にはいずれもちょっと割高感があって入りづらいです。



というわけで、アメリカらしい大きなM&Aと決断のスピードにはいつもながらびっくりです。

LINK

Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you

0 件のコメント:

閲覧数が多い記事