2018-11-06

クラフトハインツ(KHC):凄いことになっている『のれん代』の件

Grüß Gott / Hello

バフェットさんのコア銘柄にもなっているクラフトハインツ(KHC)ですが、凄い『のれん代』が続いています。

今日は『のれん代』のことをちょっと調べてみました。


  『のれん代』が大きい企業


まずは、気になる企業の『のれん代』を前期実績で調べてみますと

CompanyTickerRev.($min)Goodwill%
Kraft HeinzKHC26,23244,824170.88%
PfizerPFE52,54655,952106.48%
General MillsGIS15,74014,06589.36%
J. M. SmuckerSJM7,3575,94280.77%
P&GPG66,83245,17567.59%
AT&TT160,546105,44965.68%
Cisco SystemsCSCO49,32931,70664.27%
Walt DisneyDIS55,13731,42657.00%
Johnson & JohnsonJNJ76,45031,90641.73%
Philip MorrisPM28,7487,66626.67%
Coca-ColaKO35,4109,40126.55%
Alphabet Inc.GOOGL110,85516,74715.11%
Kimberly-ClarkKMB18,2591,5768.63%
AmazonAMZN177,86613,3507.51%
Apple Inc.AAPL229,2345,7172.49%
Tiffany & Co. TIF4,17000.00%
CompanyTickerRev.(¥億)Goodwill%
JT291421,39618,91288.39%
Takeda Pharma.450217,70510,29258.13%
Softbank998491,58743,02646.98%
Asahi Group250220,8487,37935.39%
※Rev.=売上, Goodwil=のれん代, %=(Goodwill/Rev.)
※リストの日本企業はすべて国際会計基準(IFRS)

M&Aを仕掛けて話題になった企業が売上比で%が高く出てきます。

『のれん代』を何と比較すれば良いかは色々な見方があるとは思いますが、「自己資本」や「キャッシュフロー」は年度によって『のれん代』とは無関係に変動する要素があるので、わたしは「売上」と比較するようにしています。

M&Aがあった直後は売上未計上のケースがあるのでそこは注意が必要かと思います。

  • クラフトハインツ(KHC)の『のれん代』の売上比は突出しています。
  • Alphabet(GOOGL)などはいつもM&Aをしているイメージがありますが、売上と比較するとまったく問題のない範囲です。
  • ティファニー(TIF)の「のれん代ゼロ」はさすが。
  • 日本の企業では売上比ではJT(2914)、絶対額ではソフトバンク(9984)が目立ち、たびたび投資判断でも話題になりますが、クラフトハインツ(KHC)と比較すると可愛いいレベルに見えてしまいます。

メモ
📌 アメリカ企業の"のれん代(Goodwill)"の調べ方
  1.   ➤Morningstar.comのサイトを開く
  2.   調べたい銘柄のTickerを検索する
  3.   "Financials"を開く
  4.   "All Financials Data"を開く
  5.   "Balance Sheet"を開くと"Goodwill"項目がある

  クラフトハインツ(KHC)の『のれん代』


過去5年のクラフトハインツ(KHC)の『のれん代』をグラフにしてみると、2015年には売上比で200%を超えています。

※グラフ作るのって難しい(余談です。。。)

これでユニリーバ(UL/UN)まで買収しようとしたわけですから、とても健全には見えないのですが、「バフェットさん、これでいいの?」と聞きたくなります。

  会計基準で異なる『のれん代』の処理


『のれん代』の正確な説明は ➤Wikipediaさん - のれん(会計) に譲るとして、要するに買収先の企業の「ブランド価値」のことで、単純に計算すると、
[ のれん代 = 買収額 - 時価総額 ]
で出るかと思います。

《『のれん代』の処理》
  • 日本の会計基準の場合
      20年分割で償却する(20年後には必ずゼロ)
  • 米国や国際(IFRS)の会計基準の場合
      その価値が無くなったと判断した場合に償却する
      (最大の期限はあるようです)

なので、米国や国際(IFRS)の会計基準の場合は、ある日突然巨額の損出を出す危険があります。

昨年、資生堂(4911)が米国で買収した「ベアエッセンシャル」の失敗を認め、『のれん代』を償却しました。

一方、東芝(6502)は「ウエスチングハウス」の失敗を認めず『のれん代』の償却を先延ばし、悲惨な結果を招きました。

もちろん、クラフトハインツ(KHC)が東芝(6502)のようなことをするとは思いませんが。

  結論:経営陣への信頼


正直、『のれん代』の適正値を判断するのは、株価の適正値を出すより困難だと思います。

キヤノン(7751)が東芝メディカル(現キヤノンメディカルシステムズ)を高額買収した際、キヤノンの御手洗会長は「一から同じものを作るために必要な『人』と『時間』を考えたら決して高くはない」と仰いました。

『のれん代』の処理とは、結局のところ投資する会社の経営陣への信頼につきると思います。


というわけで、クラフトハインツ(KHC)に投資する予定はありません。

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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you

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