納入機数の激減のニュースを受けて、ボーイング(BA)のことをもう少し掘り下げて調べてみました。
先週に続いてのボーイング(BA)記事です。
目 次
ボーイング(BA)の受注と納入の現状
先週、ボーイング(BA)の納入機数の激減というニュースが出ました。
4-6月(Q2)期の落ち込みは悲観レベルと思ったのですが、株価の反応は今のところ限定的でアナリストのレイティングにも変更はありません。
📈 ボーイング(BA)の株価チャート
この現状について少々疑問を感じたので、もうすこしボーイング(BA)のことを調べてみたいと思います。
(🔎 グラフはクリックすると大きくなります)
📌 ボーイング(BA):納入機数の期別内訳
納入機数を過去2年の期別と比較すると、今期Q1からQ2に掛けての737シリーズ(■)の悪化は目を覆いたくなる凋落ぶりです。
言うまでもなく737MAXの事故と未解決状態の影響であることは間違いありませんが、3月時点のアナリストたちの大方の見通しは「影響は一時的なもので受注キャンセルにいたることはない。安全性が確認されれば元に戻る」と楽観的でした。
先週明らかになった4-6月(Q2)期の酷い結果を受けても、現時点でアナリストたちからDowngradeなどの発表はされておらず、この楽観的見通しの継続が現在の株価を支えているのかもしれません。
しかし、現実は3月インドネシア、4月エチオピア、インド(経営破綻による)、6月アゼルバイジャンとサウジアラビアの航空会社からキャンセル、またはその方針表明が相次ぎ、現時点でキャンセル数は300機以上に及ぶのではないかと思われます。
特にサウジアラビアのフライアディールは完全にエアバス(AIR.PA)への発注にシフトしてしまいました。
「受注キャンセルにいたることはない」というアナリストたちの見通しには少々狂いが生じているのではないでしょうか。
そして、新規受注にいたっては4-6月(Q2)期でわずか13機、前年同期の277機から95%という激減です。一方、ライバルのエアバス(AIR.PA)は213機を受注しています。
下半期の如何によっては、納入機数の首位逆転という問題だけでは済まない次元のように思います。
ただし、ボーイング(BA)にはブリティッシュエアを中心とするIAG(International Airlines Group)から200機の新規受注が見込まれる朗報があることも付け加えておきます。
株価の長期的トレンドは [受注残] に呼応している
以下はボーイング(BA)の20年間の民間航空機の受注、納入、受注残の推移と株価の関係を表すグラフです。
📌 ボーイング(BA):民間航空機材の推移と株価
ボーイング(BA)の株価(-)の長期的トレンドは [受注残](■) に呼応しているように見えます。
目の前の [受注](■) と [納入](■) ではなく将来に掛かる [受注残](■) に注目すべきであれば、アナリストたちの見通しには長期的視点では一定の理があると思います。
参考までに、右下のグラフにあるエアバス(AIR.PA)との[受注残]を比較すると、2014年以降はエアバス(AIR.PA)の [受注残](■) がボーイング(BA)を大きく上回っています。
"納入機数の逆転"が一番のニュースのように報じられましたが、737MAXの事故に関係なく首位逆転が生じることは予測がついたことと思います。
📌 ボーイング(BA)とエアバス(AIR.PA):受注残の推移
株価の調整は [受注<納入] が生じた時
上の「民間航空機材の推移と株価」のグラフでさぐってみると、
株価に一定の調整が入るタイミングは
[受注<納入]
が生じる時 となるでしょうか。
2001年、2009年にこの現象がはっきり起きていますが、これは大きなリセッションと一致する時期でもあるので関連性は微妙ですね。
大きなリセッションがあったからこの現象が後から起きているに過ぎないかもしれません。
でも、2015年にこれに近い現象が起きており、年間の中で株価が高値から30%ほど調整した局面があります。
翌2016年もこの状況が続き株価が伸び悩んだ末に、アナリストたちが一斉にボーイング(BA)に対しDowngradeを連発したことを覚えています。
結局、[受注<納入]に至ることは無く、ボーイング(BA)自身は頑なに強気のガイダンスを崩さず、アナリストたちの悲観予測を嘲笑うかのように株価は反転しましたが、株価の調整時期に起きる現象をさぐると[受注<納入]は気にはなりますね。
今期(2019)はこのままいくと[受注<納入]、それに近い結果が出ると思われます。
ボーイング(BA)の株価がマーケット全体の調整も加われば高値から30%ほど下落する局面があってもおかしくはないのかなと思います。
7/24(BMO)に予定されているボーイング(BA)のQ2.2019決算発表でアナリストたちが予測を出していない悪い通期ガイダンスが出たりして。。。
わたしの想うところ
わたしがボーイング(BA)のことをここまで疑って調べるのは個人的にボーイング(BA)担当のアナリストたちを疑っているからです。
ことボーイング(BA)に関してはアナリスト予測がリアルタイムの評価に遅れがちで、大きく外れる印象が強いのです。
穿った見方をすれば、NYダウ最大の寄与度を誇るボーイング(BA)という大型株に対し、アナリストが所属する組織全体の運用状況から正常な予測を迅速に表に出せない背景があるのではないかな・・・ということです。
味方に大砲を撃ちこめない気持ちもわからないではありません。
もちろん、わたし自身は長期的にボーイング(BA)に対する投資を肯定しており、強く買い場を待っているからその希望も入ってこのような見方をすることも事実です。
下半期に向けて、ボーイング(BA)から目が離せないです。
(投資は自己責任で)
というわけで、チキンハート(CH)の自分勝手なボーイング(BA)分析でした。
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Danke schön und Auf Wiedersehen / Thanks and See you
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