2019-03-04

JT(2914)が売りならフィリップモリス(PM)はもっと売り:カナダの訴訟の件

Grüß Gott / Hello

3/2 JT(2914)が「カナダ・ケベック州集団訴訟の控訴審判決について」というレポートをリリースしました。

日本ではJT(2914)だけの問題かのように報じられていますが、ブリティッシュアメリカン(BTI),フィリップモリス(PM)の方が影響の大きいニュースです。

  目 次



  JT(2914):カナダ・ケベック州集団訴訟の控訴審判決について


3/1 ケベック州控訴裁判所は、カナダ・ケベック州における「喫煙と健康に係る集団訴訟 」において、2015年6月に下された第一審を支持しました。

JT(2914)の子会社(JTI-MC)に損害賠償金としてCanada$1.77bin(≒1,480億円)の支払いを命じるものです。(第一審ではCanada$2.00bin)

今後のことは上告の可能性も含めて検討中とのことです。

  📌 情報元:JT - IR情報 - プレスリリース
    - ➤カナダ・ケベック州集団訴訟の控訴審判決について (PDF)

  ブリティッシュアメリカン(BTI)、フィリップモリス(PM)も対象


日本のマスコミ報道ではJT(2914)だけの問題のように報じられていますが、この訴訟はフィリップモリス(PM)ブリティッシュアメリカン(BTI)も無関係ではありません。(各社子会社が被告)

損害賠償金の総額はCanada$15bin、第一審の賠償金比率では、
  • 67%:ブリティッシュアメリカン(BTI)
  • 20%:フィリップモリス(PM)
  • 13%:JT(2914)

となっており、実はブリティッシュアメリカン(BTI)が一番の影響を受ける対象となります。

  📰 関連ニュース:finance.yahoo.com - news
    - ➤Quebec appeals court upholds C$15 billion tobacco class action ruling

  株価への影響


控訴審の結果が出た後の本日(3/4)のJT(2914)の株価は-1.19%の下落です。

第一審は2015年6月に下されていますが、当時の株価ではBTI,PMが週-4~5%ほどの下落、JT(2914)は週-2.5%ほどの下落で損害賠償金の額に対して株価への影響は限定的です。

市場の論理からするとほとんど折り込み済みということになりますが、こればっかりは今夜のブリティッシュアメリカン(BTI)の株価も見てみないと何とも言えないですね。


  訴訟の背景には1990年代のアメリカ


今回のカナダの訴訟の起点は1998年に遡ります。ちなみに原告側が最初に要求した損害賠償金額はCanada$30binです。

当時、アメリカでは同様の訴訟で「25年間で$250binもの和解金をたばこ会社側が原告の州に支払う」という重要な和解調停結果が出ており、この出来事から世界中で訴訟が相次ぐ流れになったと思われます。

和解金解決に至ったこのアメリカの訴訟の背景には、クリントン大統領=米民主党のたばこ規制への意向と影響があったと考えられます。

彼が大統領に就任した1993年にフィリップモリス(現アルトリア:MO)の株価は大暴落しており、フィリップモリスは「すべての損害賠償を負ったら会社は潰れる」と声明を出しています。

ジェレミー・シーゲルさんは長期的な再投資による最大のリターン銘柄として、アルトリア(MO)を挙げていますが、訴訟問題で株価が暴落した当時、果たしてフィリップモリス(現アルトリア:MO)に投資できたでしょうか?

今後も同様の訴訟は続くと思われます。

(投資は自己責任で)



というわけで、どんな時でもアルトリア(MO)を買い増していかないとシーゲルさんの論理は成り立たないわけですが・・・

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