8/18にアメリカの経済団体(The Business Roundtable)が株主第一主義を廃止する声明を発表し話題となりました。
この声明が出るに至った背景などを考えてみました。
目 次
株主第一主義の廃止声明
8/18にアメリカの経済団体(The Business Roundtable)が株主第一主義を廃止する声明を発表しました。
📰 ニュース元:BBC NEWS JAPAN (bbc.com )
➤米経済団体、「株主第一」を廃止 福利厚生や地域に注力へ
➤米経済団体、「株主第一」を廃止 福利厚生や地域に注力へ
これまでの株主還元を最優先する経営はやめて、社会還元、従業員還元に舵を切るという内容です。
声明どおりに受け取ると、今後は配当金や自社株買いが減少する、それが現実となれば個人投資家の生活設計にも影響が及ぶことが懸念されます。
また、日本企業の動向にも影響を与えるのではないかと気になるところです。
この声明の本気度を測るのにまず注目したいのは。"役員報酬"が日本企業並みになるかどうかですよね。
何事も自ら腹を切れるかで本気度が試されるものと思いますが、オバマケアが受け入れられないアメリカ人にそれが出来るのかと疑いたくもなります。
ニュース報道の中には、格差社会の批判から逃れ、規制を遠ざけるためのポーズではないかと指摘する声もあるようです。
株主還元の成長余力に翳り
これはわたしが勝手に想像する背景です。
この声明の裏には、株主還元の成長余力に翳りが見え始め、遠くない先に訪れる経営責任から逃れるための防波堤造りではないかという疑念を持ちました。
最近、アメリカ企業の増配率が鈍化してきたように感じるのですが、一定の高い増配率を累進的に継続していくのは積み重ねるほどハードルが高くなります。
株主還元を高めるためには、増益、EPSを年々確保していかなければいけないわけで、市場の開拓、消費の拡大、コストの削減、競争とM&A、企業はあらゆる方策を駆使して利益の拡大を目指してきたと思います。
バークシャー・ハサウェイ(BRK)のチャーリー・マンガーさんがM&Aを仕掛けるには全体的に割高すぎるという発言をされたように、加熱気味の景気状況で無理なM&Aも目立ってきたように思います。
景気の減速懸念もある中で、株主還元の成長余力に翳りが出てくることは当然のことと思いますが、経営者の立場に立てば、株主還元の成長停滞の原因は、業績停滞より社会還元、従業員還元のためとした方が表向き格好つきますよね。
業績停滞で株主還元がしばらく伸びないとなれば経営責任を追求されかねない、そういった不安があるんじゃないでしょうか?
本来、社会還元、従業員還元に重きをおくからといって、わざわざ「株主第一主義の廃止」を真っ先に条件付けする必要はないでしょう。
察するに、社会還元、従業員還元とは関係なく、「株主第一主義」で経営が持たないというトレンドに変わりつつあるということが最大の背景かと思うのです。
やるべきことをやってきた企業には関係ない
今、初めて株主還元が停滞するような局面が来るわけではありません。
これまでもオイルショック不況の時など株主還元が長期に停滞するトレンドは訪れたかと思います。
しかし、そもそも社会的責任の自覚が強い企業とは、いかなる苦境も乗り越え、社会還元も株主還元も継続してやってこれた企業だと思います。
アメリカは日本のような厚い社会保障があるわけではないので株主還元も立派な社会的責任の範囲だからです。
景気の減速懸念を感じてから、社会還元、従業員還元とか言い出すような企業はそもそも株主還元も安定していなかったと思うし、結局、社会還元、従業員還元も出来ない企業ではないでしょうか。
リーマンショックで減配してしまった企業や、今現在無配に近い企業のトップが言っても説得力は無いです。
やるべきことをやってきた企業にとっては関係ない、それが今回の答かなと思います。
社会的責任の自覚が強い企業は長年減配していない企業の中に存在していることは間違いないでしょう。
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♚ 好増配より高配当を選ぶ理由
高い増配率を誇る好増配銘柄はその期待分、株価が高く配当利回りが低くなりますが、今回のようなニュースが現実味を帯びると好増配期待が萎みこの先株価が下落するリスクも生じてきます。
減配しない実績がある高配当銘柄の方がこれから来るかもしれない局面では強いのかもしれませんね。
高い増配率を誇る好増配銘柄はその期待分、株価が高く配当利回りが低くなりますが、今回のようなニュースが現実味を帯びると好増配期待が萎みこの先株価が下落するリスクも生じてきます。
減配しない実績がある高配当銘柄の方がこれから来るかもしれない局面では強いのかもしれませんね。
というわけで、株主の地位、株主還元の考え方が確立しているのはやっぱりイギリスに一日の長があるのかなと思えるニュースでした。
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